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1999年ノカタチ

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僕が独立したのは1994年。もう16年前になる。
尊敬する師匠の元を離れ独立したのには、いくつかの理由があった。
その一つが、建売住宅の設計をせねばという想いがあったから。

当時、僕の周りで住宅を購入し始めた同世代が多かった。
その多くがマンションか建売住宅。その建売住宅にロクものが無い!
それもその筈、大袈裟じゃない話、町場の不動産屋が事業主の場合、
そこの不動産屋の社長が自分のデスクの上で、下手なスケッチもどきの
図面みたいなものを出入の工務店に渡し、「これで建てといて!」的な流れで
住宅を造ってしまうのだから。

実際、現場での図面と言えば、代願屋が書いた
確認申請時の図面、つまり縮尺1/100の平面・立面・断面図が書かれた
A3の青図1枚だけだったって話も良く聞いた。
プラモデルでも、もっと詳細な図面が付いているのに。

そんな住宅を、庶民は一生掛けてローン返済しながら住んでいく。
設計士等の多くも、雀の涙程度の設計料で自己表現も出来ない建売住宅の設計など
敬遠していたし、デザイン表現の媒体とは考えて無かったんだろう。
こうして、プライドの無い建物が町並みを侵食していったのかもしれない。
何となく切なく、でも逆にチャンスかも思い、建売住宅のデザインを始めた。


写真は今から11年前、1999年に設計デザインした建売住宅である。

この住宅の前面道路の幅員は2mで、京都特有の路地にある。
元々ここには和風で情緒的なお屋敷が、黒板塀で囲われて建っていて、
それを取り壊し、3区画の建売分譲となった。
その1区画を任されたのだが、路地の黒板塀のイメージを残したく、
最終的にこのデザインとした。
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# by fit-k2 | 2010-06-19 17:53 | 住宅